人と人とのつながりを大事にした関係性を築き、経営も前進

内村広樹さん
三児の父。2020年春に千葉県から佐久市に移住。これまでに求人広告の営業を12年間、企業研修の企画・講師を3年ほど経験。その後、佐久に移住したのち独立。人材育成研修など提供する「元気応援団」を設立。現在は、都内の大手企業のほか、佐久市、小諸市、佐久穂町、小海町などの地元企業や自治体への研修講師としても活躍中。

想い:「クライアントと公私ともに深く関わることで、
日常も豊かにしたい!」
課題:「経営ビジョンに向かって、関係性の深い伴走者がほしい」
富岡直希さん
中棚荘6代目社長。
大学・社会人時代にレスリング選手として全日本で活躍したのち、Uターン。家業の旅館経営を継ぐ。

大人が自分らしく生きられる環境を求め、佐久に移住。

――まず最初に、ワークテラス佐久を拠点に、佐久市内や近隣市町村の行政・企業のサポートや人材育成研修を実施されている内村広樹さんに伺います。これまでに、どのようなお仕事をされてきたのでしょうか?

内村:大学卒業後の1社目は、12年ほどリクルートの販売代理店で、求人広告の新規開拓営業をしていました。30歳を過ぎたあたりから、人材の就職支援ではなく、今度は「人材育成の支援」がしたいと感じ始めました。
 もっと自分の色を出してできる仕事をしたいと思った時に出会ったのが、人材育成や企業研修を行う会社でした。そこで6年ほど企業研修の企画営業と講師を経験し、2020年3月に佐久に移住したのち、同年12月に独立して「元気応援団」を設立しました。現在は主に、企業や行政向けの研修講師、新人研修などを行っています。

――2020年に、内村さんが佐久に移住されたきっかけは何だったのでしょうか?

内村:長女が佐久穂町の小学校に入学したのがきっかけでした。その前から、都心で子育てをするよりも、田舎で家族みんなで仲良く暮らせたらいいねという憧れはあったのですが、学校説明会で初めて佐久地域に来た時に、この自然の豊かさにビビッときました。
 ただ、当時は転職をしてまだ3年目だったのと、3人目の子どもが生まれたばかりでした。それに、千葉に35年ローンでマンションも購入していたので、移住したい気持ちはありましたが、やっぱり無理かなぁという思いのほうが強かったんです。

――そんな中、移住の決め手となったのは何だったのでしょうか?

内村:佐久穂町の小学校の見学日があったのですが、学校に行く前に、たまたま佐久の駒場公園に立ち寄りました。公園に着いて、車からおりて、僕と長女で手をつなぎながら公園の中をダッシュで走っていったんです。それが、めちゃくちゃうれしくて。二人で20メートルくらい手をつなぎながら走っていた時に、これが自分の理想の人生だなと感じました。それが佐久に移住を決めたきっかけです。
 その後、小学校も縁あって入学できたので、よく教育移住ともいわれますけど、全然そうではなくて、大人が自分らしく生きられる環境だから佐久を選びました。移住前も、佐久で暮らすと幸せになれるんじゃないかと思ってましたけど、移住してからのほうがより強くそう感じています。

東京だけでなく、地域の役に立つ仕事をして過ごしたい


――佐久に移住されて9か月ほどで会社を辞めて、独立されましたが、それはどのような思いからですか?

内村:佐久にきてから、色んな生き方があると知りました。地域おこし協力隊の方との出会いや、学校の保護者の方との出会いなど。自分もいつか独立したいという夢があったので、ここにきてチャレンジしてみたいと思ったんです。独立後は、東京の大手企業での研修のほか、佐久穂町や小海町の役場などでも研修を行っています。
 やはり人材育成研修というと、圧倒的に東京の大手企業が多いので、地方で需要があるのかなと思っていたのですが、役場の仕事をはじめ、YOBOZE!を通じて、中棚荘の(富岡)直希さんにお会いできたのもそうですし、地方でこのような出会いがあるとは移住した当時は思ってもいませんでした。
 僕の中では移住した時から、地域の役に立つ仕事をして毎日過ごせたらいいなぁと思っていたので、うれしく思います。

――内村さんにとって地元での仕事(地域複業)というのは、ご自身の中でどのような存在になっていますか?

内村:地域のお役に立てているという充実感はすごく強いです。もちろん、東京の企業も目の前の方を応援していますし、地域の仕事もスタッフの皆さんを応援しています。ただ、つながりという部分では、地域の仕事のほうが圧倒的に強いんですよね。それはどうしてかというと、地域の仕事は、プロジェクト型になっていることがほとんどなので、チーム感がめちゃくちゃ強いんです。地域の仕事を通じて、そういうことが自分には向いていると改めて気付きました。
 僕は人と人とのつながりが好きなので、ただ仕事だけのつながりではもったいなくて、お客さんであっても一緒に食事をしたり、仕事の枠だけでの付き合いでなく、一人の友人のように付き合いたいという考えがあるので、そういった部分は、この地域の習慣として、とても近い部分があるのかなと思います。

経営陣の変化が与えたスタッフの成長

――内村さんも、YOBOZE!コーディネーターの柳澤さんともともとお知り合いとのことでしたが、中棚荘の富岡さんとの出会いをどのように感じましたか?

内村:最初、柳澤さんから中棚荘の方が困っているらしいと聞いて、それで三人で会う機会を設けていただきました。実はぼく、プロレスが好きなんですけど、(富岡)直希さんは長くレスリング選手として活躍されていて、その話しをすごく聞いてみたいと思っていました。
 実際にお会いしてみて、直希さんはとても真っすぐで、誠実な方だなという印象が強かったです。静かなる闘志を感じました。
 そのあと具体的に商談をして、今後の方向性を決めていきました。人材育成の業界において効果が高いのは、経営陣の方をまず育成すること。そこで最初の年は、まずは経営者の直希さんとマネージャーの方も一緒に3回ほど研修を実施しました。それから、スタッフ全員の研修も行いました。
 翌年からは、その時々の中棚荘の状態に合わせて、個別にアドバイスをしたり。今年で携わらせていただいて3年目となりますが、今では一緒に中棚荘を作っているという感覚でいます。

――富岡さんは、内村さんと一緒にお仕事をされていく中で、中棚荘がどのように変わっていったと感じていますか?

富岡:内村さんに伴走していただく中で、私たち経営陣もスタッフとの関係性が少しずつ前に進んできた感じがします。その進みが早すぎるとトップダウンになってしまうのですが、早すぎず遅すぎず、絶妙の早さでちょうど良い感じで進むことができたことで、経営も良い方向に向かっています。
 私と内村さんが深くつながっているからこそ、まず経営陣が決めたことに自らチャレンジしていく姿勢が、スタッフにも浸透してきました。私たちをみて、スタッフも「変わっていけるんだな」という自覚が出てきたのだと感じます。
 前はスタッフに経営陣が「こうやりましょう」と提案して、それから、「なぜそれをやるのか」という説明をしなければいけなかったですが、今は、「こうしたい」と提案した時の納得感や理解度がとても高まったなと感じます。結果として、変化の進みも早くなりました。

お互いが幸せになれる仕事以上の関係性を築く


――富岡さんと内村さんの関係性の深さが、組織にも良い影響を与えているのですね。

富岡:そうですね。やはり最初にお金ありきで「いくらでやってください」という仕事の依頼だと、結果を求めてスタートしてしまうけど、内村さんとは結果ではなく、関係性が成り立った上でスタートできたことがすごく大きいと感じているんです。
 もちろん東京の相場と比べても、とても良心的に仕事を請けていただいてるのは、自覚はしているんですけど、それでもやってくださると仰っていただいたので、私たちとしてもお金以上の何かを恩返ししたいと常に思っています。

内村:たしかに東京の相場と比べるとそうですが、でもこうやって毎月関わらせていただいているのは、実は僕自身のスキルアップにもつながっているんです。
 というのも、毎日、単発で企業研修だけを行っている講師では経験できないことであり、経営の一員としてお手伝いさせていただいていることは、お金には変えられない経験です。それが、僕自身の価値になってるということは間違いありません。
 また、仕事以外でも、直希さんとの関係性において、お互いにシンパシーを感じているのも間違いありません(笑)プライベートでも、僕の両親も中棚荘が好きで長野に来るときはいつも泊まっていますし、先日は妻の両親も泊まりました。それに、実は子どもの小学校も同じでお互い保護者同士で、富岡家と内村家は、家族ぐるみをこえて一族ぐるみのような感じになっています。

富岡:内村さんのご両親たちが遊びに来てくださることも有難く、何より、そういう人と人とのつながりが、仕事をこえて、できあがっているということが本当にうれしく思います。
 最終的に仕事においては内村さんの伴走なく、自走していけるのが目指している姿ではありますが、でも仕事としての付き合いは終わっても、家族のつながりがあることによって、「また遊びに来ますね」という幸せなゴールを築けているのがうれしいです。

内村: 僕も、直希さんとはオンオフ両方の関係であるということが一番うれしいですね。僕が中棚荘を応援したいと思っている背景に、直希さんの信念でもあるんですけど、スタッフの皆さんが個人の人生を豊かにしてほしいという思いがあり、それに共感したからです。
 スタッフの皆さんが会社に貢献してほしいという思いはもちろんあると思いますが、直希さんは個人の人生を先に考えられる経営者で、そういう方だからこそ、応援したいし、お手伝いしていても楽しいんですよね。
 また、そういった仕事を地元地域でできている今が、僕自身とても幸せなことだと感じています。

■佐久地域の企業へのメッセージ

内村(複業人材側からのメッセージ):
複業人材側としても、自分はここまでしかやりませんと決めてしまうと、それ以上の企業との関係性が生まれてきません。人としての関係性を大事にしながら、こんなことも、あんなこともできそうですねと話し合えるとお互いにより良くなっていくと思っています。 ワークテラス佐久やYOBOZE!コーディネーターの方々も人とのつながりを大切にされているので、お互いに信頼関係を築きながら、結果を残していけたら良いなと思います。

富岡さん(企業側からのメッセージ):
複業人材の方と一緒に仕事をすることは、企業側にとって今すごくチャンスだと思います。特に移住されてきた方は、首都圏と地元の両方の仕事を請けている方もでてきており、そういう方は地域の外にもアンテナが向いているので発想に柔軟性もあります。複業人材の方を地域の企業が活用し合うことで、地域全体の発展への横展開にもなっていくと思います。

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